そら騙されるわね|『Tinder詐欺師: 恋愛は大金を生む』(Netflix)感想

映画

マッチングアプリを使った国際ロマンス詐欺事件のニュースをたびたび目にする時期があった。手口としては、やりとりを重ねる中で「この仮想通貨買ってよ、儲かるから」と謎コインを買わされたり、「逮捕されちゃった、保釈金ちょうだい」「日本行くから飛行機代くれよ」などと金を無心されるパターンが多かった気がする。

「会いもしない相手に騙されるものかしらね」と思っていたのだが、じゃあ実際に会えたらどうだろう。それも、初対面が高級ホテルのカフェテリアでのアフターヌーン・ティーだったら? 相手がダイヤモンドを扱う会社の御曹司だったら? そのまま「海外出張着いてきてよ」と誘われたら? ホテルの表に運転手付きのロールスロイスが停まっていたら? その日のうちにプライベートジェットで異国のホテルに向かい、一夜を明かしたら? 

「案外……というか絶対騙されるだろうな」とNetflix制作のドキュメンタリー『Tinder詐欺師: 恋愛は大金を生む』(原題:The Tinder Swindler)を観て思った。

Tinder詐欺師のあらすじと感想など

何度スワイプを繰り返しても、オンラインではそう簡単に運命の相手に出会えない…。そう思っていたセシリーですが、信じがたいほどに理想の条件がそろった、ハンサムで億万長者のプレイボーイとマッチし、運命の出会いを果たします。しかし、やがて夢が覚め、世界を股にかけるビジネスマンの仮面が剥がれた時には彼女はすべてを奪われた後で、時すでに遅し…。おとぎ話の魔法が解けて一転、恐ろしい復讐劇が始まります。セシリーが起こした行動で、彼の餌食となった他の被害者が判明し、彼女たちが結託すると、今度は彼の運命が狂わされていきます。
引用:Filmarks

あらすじに記されている「信じがたいほどに理想の条件が揃ったハンサムの億万長者」がSimon Leviev(別名Shim-on Hayut。リンク先は彼のインスタ)という男なのだが、この男のやり方がま〜悪どい。

やっていることは「女性Aから死ぬほどお金を借りる→女性Bの前で死ぬほどお金を使う→女性Bにお金を借りる→女性Cの前で死ぬほどお金を使う」の自転車操業である。が、スケールが大きい。何しろプライベートジェットで日毎に世界各国を飛び回り、高級ホテルで夜を明かし、ブランド服を着飾ってパーティーざんまいといった具合。

リンク先のInstagramでも彼の豪奢な暮らしぶりが伺える。なお、コメント欄が開放されているPostでは「ぼくの敵にカードを止められたんだ。頼むからお金貸してくれない?」(”My enemy”は彼自身が女性からお金を引っ張るときに使う架空の存在)などと好き放題書かれているので、作品鑑賞後にのぞいてみるといいかもしれない。

彼の話し方やコミュニケーションからは、徹底して女性に自分を信じ込ませようとする努力が伺える。先述した“My enemy”のように、共通の敵を作って女性が彼を支援するような座組みを整えようと必死なのである。自分に不都合なことが起きると「それはぼくの敵のでっちあげだ」と癇癪を起こし、少し時間が経つと「声を荒げてすまなかった……ぼくの味方は君だけなんだ……」とどこかで見たことがあるようなムーブを起こす。見ていてはっ倒したくなった。

作品は大きく前半の「どう女性たちが騙されたか」パートと、後半の「どうSimonを追い詰めるか」パートに別れている。後半、ノルウェーのジャーナリストが複数人出てくるのだが、彼ら/彼女らの仕事の進め方が結構大雑把というか、「オッそんな大味でいいのかい!?」みたいな囮捜査をするのでハラハラした。具体例を一つ挙げると、囮となっている女性が居るのにカメラ撮影がバレたりする。「だだだだ大丈夫……!?」って感じだったが、無事かどうかは本編をご覧ください。

作品全体を通した感想は以下。

逆を言うとこれ以上はないのだが、2時間空いていれば楽しめると思う。終わり方がかなり不快なので、精神衛生が十全な時に観るのがよろしいかと。

個人的には同じ製作陣の「猫イジメに断固NO!: 虐待動画の犯人を追え」(原題:Don’t F**k with Cats: Hunting an Internet Killer)の方がおすすめ。『Tinder詐欺師』と比べると長いけど、死ぬほど面白かったのでぜひ。

作中で度々出ていたVGのTHE TINDER SWINDLERのweb記事も発見。作りが面白いので見入ってしまった。こちらも本編鑑賞後にどうぞ。

Thumbnail:Netflix

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