王となれ
ただし、おれではなく、お前がなれ。
PS4のシェアプレイ機能を使って、友人がエルデンリングをプレイしているさまを鑑賞している。自分がクリアしたのは今年の4月だったが、ボスへの道順などは案外覚えていた。小学校の通学路みたいなもの。
おれ、なりました エルデの王に、なりました やらなければいけないことをこなしつつ、コツコツ王への道を進んでいました 神ゲーでした 英雄のガーゴイルを除いて #ELDENRING pic.twitter.com/3d4MHR9hjp
— 渡良瀬ニュータウン (@cqhack) April 5, 2022
▲英雄のガーゴイルだけは絶対に許さない
友人はかなりゲームが上手いが、フロムゲーは初めて。犬5匹・コウモリ2匹を引き連れて砦を元気に走り回っているエルデ版桃太郎みたいな友人に「モブは1匹ずつ処理しないと死んじゃうよ〜」と助言したりしつつ、プレイを眺めている。かなり楽しい。
楽しいのだが、やはりボスで詰まったりすると、友人のエルデンリングへのモチベーションが見る見るうちに下がってしまう。そうなると「しんどい」「つらい」「エペやりたい」(友人はApexのランクがダイヤなのでとてもうまい)と愚痴が漏れだすので、彼のモチベーションを保つことにつとめている。
とにかくボスさえ倒してもらえれば、一転、「気持ちいい」「エルデンリング楽しすぎる」となってくれる。成功体験が更なるモチベーションを生む好例である。早めに「エルデンリングは苦しめば苦しむほど気持ち良くなれる」を会得してもらうためにも、苦しい時間をいかに支えられるかが勝負になる。
話は変わるが、労働において、この1年で自分がリーダーのチームのようなものを持たされるようになった。一緒に働くメンバーに不快な思いをさせるのも忍びないので、本を読んだりして(『心理的安全性のつくりかた』とかはよかった)勉強したのだが、学んだTipsが友人のエルデンリングへのモチベーション管理にめちゃくちゃ活きている実感がある。
文章にしておくので、ぜひみなさんも友人のエルデンリングのモチベーションを保ってください。
ほめる・よかった攻撃・回避をより具体的言語化する
読んだ 約400ページかけて「人に怒るな」「優しくしろ」と説き続けられ、最後の4ページに「セックスって大事だよね」と書かれていた / 「人を動かす文庫版(デール・カーネギー/山口博)」 https://t.co/emWUBdkGm9
— 渡良瀬ニュータウン (@cqhack) June 26, 2021
カーネギーの『人を動かす』を読んだ時、「あらゆる例を用いて『人に優しくしろ、怒るな』『褒めろ』って書いてある……むしろそれしか書いてない……」と思った。それくらい、人と一緒に働く上で「賞賛」は重要であるらしい。
エルデンリング鑑賞において賞賛が発生しやすいポイントは、ボスの攻撃を見切って避けた時、その後細かく攻撃を入れられた時である。
この時、
× 「炎ブレスの避け方よかったよ」
ではなく、
○「竜のツリーガードの炎ブレスに対して1撃目前ロリ→2撃目ロリR1切り→3撃目後ろロリ離脱の流れよかったよ」
と、良かった行動を具体的に言語化するように心がけている。この言語化を挟み、かつ褒めることで「自分のダメージを抑える行動例」「相手にダメージを与える行動例」(ゲーム上のメリット)に加え、精神的な好子を与えられるためである。
その他、「完全に見えてる」「しっかり回復飲めてる」「ロリのタイミング完璧じゃん」「ほんとに初見?」のワードはよく使うので覚えておくべき。
失敗に学ばせる・敗北の原因を考えてもらう
繰り返し同じ失敗が発生する場合は、当然そのミスを指摘する必要がある。しかし、こちらはあまり具体的に指摘しない方がいい。
「毎回頭側に避けるからローレッタの四連攻撃の最後の切り上げ当たっちゃってんだよ」
このように言ってしまうと、「シェアプレイ見せてやってる側なのになんで偉そうなんだよ」となるし、今後のボスで同じ攻撃にハマった際にも都度指摘する必要がある。ボスごとの攻撃は異なるので、全ての回避パターンを共有するのは大変骨が折れる作業だ。
こういう時は、失敗の理由を自分で考えてもらうためにも、「え、いまなんの攻撃当たってたの?」と問いかけるのがおすすめ。相手の言葉で説明してもらった上で、補足が必要なら「あ〜! じゃあ四連攻撃は三発目までにローレッタの馬の後ろ行くか逆サイ出なきゃいけないんだね」といった具合で加えるのがいい。
エルデンリング鑑賞の楽しみ方
とはいえ、別にマネジメントを学ぶために友人のエルデンリングを見ているわけではない。なんのために見ているかと言うと、結局友人が不幸に見舞われているさまが面白いのである。こう書くと最低の人間に見えるけれど、まあゲームの話なので。
雑魚モブに囲まれてタコ殴りにされている友人を見ながら飲む酒はうまい。HP50%で竜のツリーガードの攻撃モーションが急に変わり、「何何何何!?!?!?!?!?!?!?!」と悲鳴を発しながら雷に打たれているのを見た時は手を叩いて笑ってしまった。霊喚びの洞窟の最奥で、回復を使い切ってやっとこさ神肌の使徒を倒したのに、実は神肌の貴種との連戦だった時が判明した時の絶望の叫びのおかげで、その日はぐっすり眠れた。
なので、有益な情報を与えつつも、アルター高原で「なんかそっち方面アイテムあったかも」とかなんとか言って急に古竜ランサクスに襲われるルートに向かわせるなどの嫌がらせも適宜挟んでいる。
個人的にダクソやSEKIROをプレイしてきたのは、それがARPGとしておもしろいのはもちろんのことだが、これらのゲームで配信している人たちが非常に多いので、自分自身もプレイして配信をより楽しみたいという気持ちが大きかった。
実際、この手のゲームは自分がまったくやらない状態で配信をみて、配信者がなすすべもなく敵ボスにやられひとつのボスで2時間3時間と沼っていくことを楽しむこともできるが、自分がプレイしているとおもしろさはより増す。ああ、このボスは本当に発狂しそうなぐらいきつかったな……というボスで、配信者が同じように苦しんで「こんなんどうやって避けるんだよ! 避けれねえだろがい!!」と叫んでいると、「そうだよな、こいつは強いんだ」とにやにやが止まらなくなる。
– ただただ美しいゲーム──『ELDEN RING』/基本読書
エルデンリング鑑賞の楽しみは、まさに引用文のメンタリティに基づいている。自分が苦労したボスで別の誰かが苦労しているのと笑みがこぼれる。「自分も苦労したからお前も苦労するべきだ」という古の考えに近いものを感じるが……まあゲームの話なので。「あ〜〜〜早くあのボスまでたどり着いて絶望してほし〜!!!」の気持ちで毎日頑張っております。
そしてもちろん、こういうことは気のおけない友人相手限定でやりましょうね。関係性ができてない人にこういうことやると、嫌われるからね。
Thumbnail:ELDEN RING | エルデンリング
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