朝起きて、恋人が寝ている部屋の扉を閉める。眠りの浅い性質だから、同棲を始める前に寝所を別々にしてもらうよう計らったのであった。(前日の夜に深酒をしていなかったら、簡単な朝ご飯を用意する。前日の夕餉の残りをレンジに放り込む。あるいは食パンをグリルに放り込み、卵とソーセージなどの加工肉を一緒くたにして焼く。深酒をしていたらこの括弧内の過程を省略。)カフェインを取る口実として、インスタントコーヒーの粉末を長い言い訳のようにコップに放り入れて、飲む。換気扇を付けて、煙草を吸う。一本で済ませようとするが、コーヒーが熱くてなかなか飲めないのでたいてい二本。煙草を吸う間に家計簿アプリの残高を更新。前日の株価を眺め、増えていたらああそうですか、という顔をして、減っていたらああそうですか、という顔をする。そうしたら顔を洗って、身支度を済ませて、家を出て……
というような生活をしているうちに、あっという間に2024年が終わっていた。仕事が忙しいというと偉そうなのだが、なんにせよ持っている裁量が大きくなり、「この人たちの人生っておれの判断に左右される?」みたいなことも多く、正直消耗した。すり減っている分、お金はいただいている。じゅみじゅみに濁った川の流れの中で、いろんな石とぶつかってどんどん自身の身体や精神が削れていく対価としての金。下流の石としてまあるくなったおれが狂ったように金を株や債券に変え、投資信託に突っ込み、眠い目をこすって資産の残高を更新している。
いま備わっている意識をインストールしたのが、たぶん大学入学前くらいだったはず。大学合格を祖父に報告した時に「せやろなあ、じいもいっぱい祈ったからなあ」と言われ、「絶対この恨みは忘れんぞ」と決心した自分といまの自分が何も変わっていない。マイナーアップデートすらしていない。株式会社おれの情報システム部情報システム課の方々が怒髪冠を衝いているが、そのままである。しかし、積んでいるOSと世情や置かれている状況は日々変わるので、旧式の自分で最新の世界と付き合っていかなければならない。
あらゆることを諦めるのは簡単だのに、まだ端から端まで自分がなんとかできると思っている。世界各国の霊廟に納められるくらい身が千切れるほど奮闘すればなんとかなるのかもしれないが、逆向けになっている手指の薄皮一枚を剝くのにも涙目になっている始末。
自身にパッチを当てなければならない。なんか……ちょうどいい感じの。いまの自分が未来の自分を嫌いにならず、未来の自分がいまの自分のことを許せて、未来の自分がうまいことやってる感じの、いい感じの修正をしていく必要がある。なんですかこの具体性を欠いた目標は? 現政権か?
ということで、2025年の目標はマイナーアップデートです。ひとつひとつ、いまの自分と未来の自分の妥協点を探して修正していくぞ。
28歳の目標は「人生への解像度を上げて、周りに得してもらう」です。28歳なりに人生をやる。たぶん、自分のためだとあんまり頑張れないから、周りの人に得してもらえるように頑張ります。利他の心ってやつですね。
2024年の目標ではないが、去年の誕生日の目標はこんな感じだった。これは明確に一部で失敗した。「人生への解像度を上げて」「28歳なりに人生をやる」は少しできた。なんかいっぱい働いて、給料上げて、お金もらって、資産増やして、恋人と住む家を探して、相手の両親の家に挨拶に行って、自分の母親に会わせて……なんか、こういうの、人生じゃない? あんまり分かってないんだけど、まあ楽しかったのでOK。一方で、「周りに得してもらう」の目標は良くなかった。自分の一年の目標に他人の損得を入れ込むの、知らん奴が話す知らん国の知らん儲け話くらいリスクが高い。まず自分のことをちゃんとできてなきゃ他人なんか考えられんよね。
ということで改めてマイナーアップデートを頑張ります。それから、ちょっと酒量とタバコを減らせるといい。あとは、
2024年ありがとうございました 主に仕事が、というよりこれって仕事なのか?みたいなことがキツかった(たぶん仕事なんだろうなと思う) かなり内省的な一年だったので、2025年はより自身を外部にひらく一年にできたらいいですね 来年もすこやかに、毎日たのしく暮らそうね
— 渡良瀬ニュータウン (@cqhack) December 31, 2024
この通り外部に自分をひらく一年になればいいと思います。こまごました予定にかこつけてキックボードくらいの頻度でしか誘いに乗っていなかったのですが(※1)、これからは電車くらいの頻度で乗ろうと思います。こちらも誘うので、皆さんも誘ってくださいね。よい一年にしましょう。
※1 ほんとに毎日こまごました「やらなきゃいけないことリスト」が複数あり誘いを断っていただけです。春とヒコーキ土岡さんの1日1ターン理論とかが近い。ぼくは1日2.3ターンくらいでした、すいません。
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