『ベイビーわるきゅーれ』感想と『黄龍の村』鑑賞の依頼

映画

阪元裕吾監督の映画、『ベイビーわるきゅーれ』を観ました。はちゃめちゃに面白かった。「だよね〜!」という方も多いはず。
じゃあ、同じく阪元裕吾監督作品の『黄龍の村』は観ましたか? FilmarksのMark数を比較すると、『ベイビーわるきゅーれ』は1861件、『黄龍の村』は164件(2021/10/4時点)。だいたい11倍の差です。

「『ベイビーわるきゅーれ』についてのPostではないのか」とお思いの方に。そうそう。その通り。これから『ベイビーわるきゅーれ』についてすごい書きます。でも先に言っておきます。『黄龍の村』観てほしい。絶対観て。

なんでこんなことを先に言うかというと、語りうるものが少ないからです。いろいろと察してくれ。とにかく観て。最後の方にも少しだけ『黄龍の村』について書いています。

東京在住の方は池袋のシネマ・ロサで『ベイビーわるきゅーれ』(95分)・『黄龍の村』(66分)を同日に観るのがおすすめ。どちらも上映時間は長くないので、無駄に長くて微妙な映画を観るよりはこの2本を観た方が良い。

観る順番はお任せ。ぼくは『ベイビーわるきゅーれ』から観ましたが、『黄龍の村』から観たほうが笑えるポイントがあったかもしれない。でもどちらが先でも大丈夫です。

ということでまずは『ベイビーわるきゅーれ』のあらすじから。

『ベイビーわるきゅーれ』のあらすじ・キャスト

女子高生殺し屋2人組のちさととまひろは、高校卒業を前に途方に暮れていた・・・。
明日から“オモテの顔”としての“社会人”をしなければならない。組織に委託された人殺し以外、何もしてこなかった彼女たち。
突然社会に適合しなければならなくなり、公共料金の支払い、年金、税金、バイトなど社会の公的業務や人間関係や理不尽に日々を揉まれていく。
さらに2人は組織からルームシェアを命じられ、コミュ障のまひろは、バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、2人の仲も徐々に険悪に。
そんな中でも殺し屋の仕事は忙しく、さらにはヤクザから恨みを買って面倒なことに巻き込まれちゃってさあ大変。
そんな日々を送る2人が、「ああ大人になるって、こういうことなのかなあ」とか思ったり、思わなかったりする、成長したり、成長しなかったりする物語である。(引用:『ベイビーわるきゅーれ』公式サイト)

元気で明るい元女子高生・現フリーターの殺し屋「ちさと」を演じたのは高石あかりさん。舞台版の『鬼滅の刃』で竈門禰豆子を演じて注目されているのだとか。

不元気で暗い殺し屋「まひろ」役にはスタントウーマンの伊澤彩織さん。実写版の『キングダム』や『るろ剣』でもスタントを務めているらしい。この人のアクションがすごいんだホント!

開始早々、コンビニ店長役で出てくるのはラバーガールの大水さん。殺し屋をサポートする「会社」の人、須佐野役には飛永さん。やっぱり演技がうまい。


悪役として、冗談がまるで通じない激ヤバヤクザ(演:本宮泰風)とそのかわいそうな息子(演:うえきやサトシ)、ネジが飛んでいる娘(演:秋谷百音)が登場。

それと、語らずにはいられないのが、死体などを処理する「清掃屋」(便利屋?)の田坂さん(演:水石亜飛夢)。彼はとてもいい性格をしているので、主人公のふたりにとても嫌われている様子。

そんな田坂さんを演じる水石亜飛夢さんは、『黄龍の村』でクッソ腹立つ感じの大学生として登場する。『黄龍の村』を観て! 同じ人がこうも違うキャラクタになれるのかと思うと……やっぱり役者ってすごい。

『ベイビーわるきゅーれ』のすごいところ:アクション・バイオレンス

こちらの動画をどうぞ。

観てお分かりの通り、なんといってもすごいのが、まひろ役の伊澤彩織さんのアクション。「はえー!」「すげー!」「いてー!」「つえー!」って言ってたら終わる。それぐらいのスピード感でアクションが進んでいく。

キャラクタも良い。まひろはとにかくテンションが低くて多分朝とかも弱くてお布団と猫が大好きでコミュニケーションが苦手で……といった、ある種「型にはまった」造形が為されている。

のだけれど、そんな彼女が突然リュックから拳銃を取り出して眉間に弾丸をぶちこんだかと思えば、男たち数人を相手取り、殴り、蹴り、殺す。そして、終わった後は「疲れたあ」と一言。ベタではあるけれど、このギャップに魅せられない人って居るのかしら。

バイオレンス描写もすごい。個人的にはまひろが倒れ込んだ男の腹に刃を突き立てた後、しっかり両方向に手首を捻ってトドメを刺すのを見て、「『荒川アンダーザブリッジ』でシスターがやってたやつじゃん……」といたく感激した。傷口を少しでも拡げるんだよね……あ、ちょっとグロいアクションといえば『黄龍の村』もおすすめです。観てください。

とにかく人の命が軽い映画なので、拳銃の試し撃ちに人が使われたり、往来のある歌舞伎町で堂々と人が殺されたりする。「殺し屋が組織化されている」「日常に紛れ込んでいる」感じは、伊坂幸太郎作品に近いものを感じた。それに「殺し屋が殺し以外の生業を持たなければならない」という点では、『ザ・ファブル』なんかを思い出したりもする。この辺りの作品が好きな人にはおすすめ。

『ベイビーわるきゅーれ』のすごいところ:オフビートのコメディパート


アクション以外のパート、特にちひろとまひろのなんてことない会話もすてき。このふたりの仲が良いのが、良い。あらすじには「2人の仲も徐々に険悪に。」と書いてあるけれど、もうこれは大丈夫です。仲良しです。殺しに行く前にケーキを買って、「生きて帰って、ふたりで一緒にケーキ食べようね」と約束したりする。なにその死生観バグった友情。最高じゃん……

高石あかりさんの日常パートでの自然な演技がとにかくよかった。Filmarks観ていると、「サブカルっぽい固有名詞がガンガン入ってくる感じとかが苦手」みたいな意見もあったので、この辺りは相性かもしれない。まあまずお試しで観ればいいじゃないですか。ね。『ベイビーわるきゅーれ』を観ればいいじゃないですか。『黄龍の村』と一緒に。

パンフレットに劇中歌+オーディオドラマもついている

ベイビーわるきゅーれ パンフレット
ついています。1000円のパンフレットを購入すると、映画挿入歌の『らぐなろっく』(Spotifyでも配信中)+オーディオドラマ3話が収録されているCDがついてきます。

感想などを書ければよいのですが、家にCDを再生できるデバイスがなく、まだ聞けていません。代わりと言ってはなんですが……ここからは『黄龍の村』の話をしようと思います。

『黄龍の村』のあらすじ・キャスト

キャンプ場への道中 携帯も繋がらない山中で車がパンク
助けを求め迷い歩く若者たちが辿り着いた「龍切村」
その奇妙な村を舞台に狂気の集団と若者たちの想像を絶する惨劇が勃発
(引用:『黄龍の村』公式)

人生が楽しそうな大学生たちが妙な村に足を踏み入れ、土着信仰の儀式に巻き込まれ……的なストーリー。キャッチコピーの「これ、村の決まりやから」から、物語の概要になんとなく察しがつくはず。

まず面白かったのが、序盤のシーンの撮影方法。以下引用は公式サイトの監督コメントより。太字は自分がつけたものです。

この作品を撮影したのは2019年11月でして、そこから新型コロナウイルスの影響もあり公開が延び、もう2年近く経とうとしています。この作品に出演している役者たちは大学から一緒にやってきた人たちが多く、あまり普通では考えられないような芝居の撮り方をしました。それはPOVシーンでして、そこでは役者に直接スマートフォンを渡して撮ってもらい、その場で即興での会話を引き出し、自分もアイディアを出してアドリブでガンガン進めていくというものでした。(『黄龍の村』公式)

この即興での演技がすごかった。駅前で酒を飲む大学生、車内で酒を飲む大学生、バーベキューで酒を飲む大学生、酒の勢いのままトイレでディープキスをする大学生……など様々な映像が、スマートフォンで録画した縦型映像で流れる。この映像がま〜〜〜大学生なの。絶対観てほしい。「大学生じゃん」ってなるから。

そして、一番腹立つ大学生が『ベイビーわるきゅーれ』の田坂さんなのも最高。先に『ベイビーわるきゅーれ』を観ていると、「あんなに真面目に仕事してたのに……」と笑ってしまうし、『黄龍の村』を先に観ていると、「あのクソ大学生がこんなに真面目に仕事を……」となるのでどちらもおすすめ。

他にもたくさん書きたいことはあるのだけれど、あまり話すと面白くなくなるタイプの映画なので、とにかくまず観てほしい。観てから一緒に感想を語ろう。

先に注意しておくと、もちろん血がたくさん出る映画なので苦手な人は控えたほうがいいかも。それと、予算が限られた中で製作された作品なので、ハリウッド映画のようなド派手な演出を期待するのもよくない。とはいえ、アクション部分はテンションが上がる。そこは期待してOK。

はい! 説明おしまい! ほら! 「黄龍の村 上映館」で検索して! 時間調べて! クレジットカードの番号入れて! せっかくだから映画館の会員登録もして! うきうきして映画館行って! 観て! 「面白かった」「詳しいことは言えないけどみんな『黄龍の村』を観て」ってツイートして!!!!!!

おれは今から阪元裕吾監督の『最強殺し屋伝説国岡』を楽しみにしておくので!!!!! よろしくね!!!!!

▼観に行きました。詳しくは『最強殺し屋伝説国岡 完全版』の感想を書き綴っているこちらの記事まで。

Thumnail:『ベイビーわるきゅーれ』公式Twitter
Image:『ベイビーわるきゅーれ』公式サイト

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